父は言った「ソ連が来たら一緒に死のう」元国後島民の今

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白井伸洋
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 平成から令和へ移り、初の参議院選挙が21日に投開票される。今、一票に何を託すのか。様々な課題の現場を記者たちが訪ねました。

 早朝、漁場へ向けて小舟を出す。向かう先には、晴れていれば北方領土国後島の山並みが見える。北海道根室市の漁師、古林貞夫さん(80)の古里だ。「すぐ行けそうなのに。見る度に残念だよ」

 島の南側、瀬石地区に住んでいた。近くの浜では温泉が湧き、山から引いた水で冷まして風呂に入った。早くして亡くなった弟や妹の墓もあった。旧ソ連によって島を追われたのは、終戦から2年後の秋だった。

 これまで自由訪問などで島に4回渡ったが、ロシア側の許可が下りず、地区に帰ったことはない。いつも、数キロ離れた丘にある仮の墓標に手を合わせる。

 5月、国会議員が国後島を訪…

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