母は何度も「死のう」と… ハンセン病訴訟、家族の思い

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雨宮徹
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 熊本地裁で28日に判決を迎える、ハンセン病の元患者の家族が国を相手取った損害賠償請求訴訟。561人の原告には岡山市に住む原田信子さん(75)も名を連ねる。患者だった父の強制隔離、差別、今も続く偏見。半世紀に及ぶ苦難の清算につながる判決を願っている。(雨宮徹)

 原田さんは北海道南部の出身。父がハンセン病に感染し、発病が分かったのは太平洋戦争末期ごろ、旧満州にいるときだった。そのころ妊娠した母親は北海道に里帰りし、原田さんを産んだ。

 父の最も古い記憶は、バラック小屋のような自宅で、たばこの火を布団に落とし焦がしたのを見たことだ。ハンセン病は当時、症状が進むと視力を失うケースが多く、父の目も日に日に見えなくなっていった。

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