ライバルはパッキャオだけ 「王朝」築くドゥテルテ一族

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ダバオ=鈴木暁子
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 フィリピンではこのごろ、「ドゥテルテ王朝」なる言葉がメディアなどでしきりに使われるようになっている。ドゥテルテ大統領(74)とその家族の政界進出ぶりをやゆしたものだ。任期折り返しの今年、5月にあった中間選挙(議会上下院・地方選)では、個性的な3人の子どもが下院議員、ダバオ市長、ダバオ副市長にそろって当選。2022年の大統領選もみすえた動きがすでに始まっている、との見方も出ている。

イケメン次男、後継者の長女、問題児の長男

 「キャーツ!」。中間選挙の投票を3日後に控えた5月10日、南部ダバオの公民館に歓声が響いた。ドゥテルテ氏が所属する政党「フィリピン民主党・国民の力(PDP―Laban)」の選挙集会に、少し緊張した面持ちで登壇したのはドゥテルテ氏の次男セバスチャン氏(31)だ。

 愛称は「バステ」。容姿は父親にあまり似ておらず、タトゥー入りの引き締まった体でサーフィンをする「イケメン」。多くの女性ファンがいる。未婚で、違う女性との間に1人ずつ計2人の子どもがいるほか、タレントとも浮名を流してきた。タレントやミュージシャンとして活躍し、政界には関心がないと言われていたが、昨年10月、ダバオ副市長選に立候補する届け出を選挙管理委員会に提出して、周囲を驚かせた。

 「政治の経験はまったくないし、最初はびっくりして(依頼を)断った。何カ月も悩んだけれど、決めたんだ」と現地メディアに話した。

 同じ選挙集会。セバスチャン氏と対照的に、堂々たる雰囲気で壇上に立ったのは、ドゥテルテ氏の長女で現ダバオ市長のサラ・ドゥテルテ・カルピオ氏(41)だ。ダバオ市長職は、ドゥテルテ氏も通算22年間にわたって務めたキャリア。父の後継者の本命候補と目されている。

 サラ氏は07年、同市長だった父のもとで副市長に当選。10~13年はドゥテルテ氏が副市長となり、入れ替わりでサラ氏が市長になった。13年からは再び父が市長に、サラ氏が副市長に。さらに16年、ドゥテルテ氏が大統領選に出馬すると、あらためてサラ氏が市長に当選して今に至っている。

 こんなエピソードがある。

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 サラ氏の市長1期目の11年…

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