妻は寝たきりに、長女も失う 無痛分娩事故、家族の思い

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多鹿ちなみ
【動画】無痛分娩の事故で寝たきりとなったエブセエバ・エレナさんを介護する夫とエレナさんの母親=多鹿ちなみ撮影
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 「エレナちゃん、ジュースどうぞ」。車いすに座ったロシア国籍の妻エブセエバ・エレナさん(42)に、京都市の大学教授の男性(57)が話しかけた。胃にチューブを通す「胃ろう」で、搾りたてのオレンジジュースを送り込む。いとおしそうに顔をなでても、エレナさんの反応はない。

無痛分娩

麻酔を使い、陣痛を和らげて出産する方法で、近年選択する人が増えている。子宮の収縮や子宮口の広がりなどによる痛みを抑える一方、下半身の感覚が残るため、いきむことはできる。人手不足などから、産む日程を調整する計画分娩のために陣痛促進剤(子宮収縮薬)を使用することが多い。

 男性は2000年に留学生だったエレナさんと出会った。生活習慣の違いを乗り越えて08年に結婚。待望の長女を授かり、エレナさんはロシアでも一般的という無痛分娩を希望した。だが、12年の出産で麻酔が誤った部分に注入され、寝たきりに。男性は回復を信じ、事故後にロシアから移り住んだエレナさんの母親ボイコ・リュボビさん(64)とともに24時間態勢で介護している。帝王切開で生まれた長女みゆきさんは重い脳性まひを負い、6歳で亡くなった。

 男性が母子に対する業務上過…

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