3年で身も心もぼろぼろに 裁量労働が強いた長時間労働

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榊原謙
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 残業時間は月に170時間超――異常なまでの長時間労働が、ある若い女性の心身を追い込んだ。長時間労働が常態化した職場で、若手の女性は上司や先輩にも相談できなかった。適応障害を発病し、中央労働基準監督署が労災を認定。5月13日に労働組合「裁量労働制ユニオン」の坂倉昇平代表らに付き添われ、都内で記者会見した女性は、時折声をかすれさせながら、「ようやく自分は悪くなかったんだ、と言われたような気がして、ホッとしました」と語った。

 ユニオンによると、中央労基署は、女性が適応障害を発病する2カ月前から6カ月前の間に、毎月41時間30分~131時間45分の残業をし、直前の1カ月間には173時間15分残業していたと認めた。

一発で基準超え

 厚生労働省の基準では、精神疾患の発病直前の1カ月間で160時間以上の残業をするなどしていた場合、業務による「強い心理的負荷」があったとして、労災が原則認められる。女性の残業173時間は「(基準を)一発で超えていた」(ユニオン)。

 大学・大学院で約6年間、建築の勉強をした女性は2015年4月、プランテック総合計画事務所(東京)に新卒で入った。建物全体の意匠を考える建築設計の仕事を始め、入社3カ月目には残業時間が月100時間を超えていた。

建築専攻の女性は4年前、期待に胸を膨らませ建築設計事務所に入りました。待っていたのは生命に関わるほどの長時間労働。「過労死ライン」を超える残業をしながら、女性は「私が悪い」と自分を責め続けました。なぜ長時間労働が続いたのか。背景には会社が導入していたある制度がありました。

 女性のタイムカードなどをもとにその後の働き方をみると――。

 26日間連続勤務▽1日22時間半勤務(休憩2時間)▽9カ月連続で残業が月100時間超▽月180時間残業▽泊まり込みで2日間で30時間勤務。あまりに過酷な残業や休日出勤を重ねた姿が浮かぶ。

 職場で働いた3年3カ月の期…

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