米中通商紛争、見え隠れする弱み 双方の政権運営に影も

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ワシントン=青山直篤 土佐茂生 北京=福田直之 冨名腰隆
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 米中両国が互いに新たな高関税措置を打ち出し、通商紛争は新たなステージに入った。激しさを増す「打ち合い」は、国民の暮らしなど自国にもダメージをもたらしかねない。両国政府とも表向きの強気とは裏腹に、今後のかじ取りには不安を抱えている。

 「まだ(第4弾を)やると決めたわけではない」

 中国が第3弾の報復措置を打ち出した直後、ホワイトハウスでトランプ大統領は冗舌だった。「米側の立場は強い」と強気な言葉を連発。その数時間後、米通商代表部(USTR)は予告通り、中国からの輸入額すべてに制裁を広げる最大の切り札となる第4弾の追加関税の詳細を発表した。

 米アップルの「iPhone(アイフォーン)」から楽器、おむつまで――。生活に直結する3805品目もの幅広い商品が並ぶ総額3千億ドル(約33兆円)は、第1~3弾の合計を大きく上回る過去最大規模だ。米国が発動して中国も報復すれば、20年までに米国の国内総生産(GDP)が0・5%減り、30万人の雇用減につながるとの試算もあるなど、米国経済も無傷ではいられない内容だ。

 だが、肝心の関税引き上げ率は「最大25%」とのあいまいな表現にとどめた。大きな関税率を見せつけつつも、米業界や消費者の反発が強い品目は上げ幅を低くとどめるなど、米経済への影響をにらんでさじ加減する余地を残している。

 攻勢を続けてきた米国の「弱…

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