火力の巨人が描く再エネ戦略とは JERA社長に聞いた

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桜井林太郎
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 国内の火力発電所の約半分をもつエネルギー会社「JERA(ジェラ)」の小野田聡社長が朝日新聞のインタビューに応じた。「LNG(液化天然ガス)と再生可能エネルギーのグローバルリーダーになる」と述べ、巨大な火力事業への依存度を減らし、再生エネ事業に注力する姿勢を強調した。

 同社は現状、再生エネを65万キロワットしかもたないが、2025年度における目標を、従来の300万キロワットから500万キロワットに引き上げた。

東電と中部電の火力事業を統合

 JERAは、東京電力ホールディングス傘下の東京電力フュエル&パワーと中部電力が折半出資して15年4月に設立された。燃料の輸送や調達など両電力の事業を段階的に統合し、今年4月1日に火力発電事業を移管し、完了した。大手電力会社の基幹事業の本格統合は初めてだ。

 「新生JERA」の社員数は4500人。建設中を含む国内26カ所の火力発電の出力は6700万キロワットに達し、国内火力の約半分を占める。今年度に見込む売上高は約3・6兆円で、関西電力を上回る。LNGの取扱量は年3500万トンと世界最大級だ。

 中部電副社長から4月1日付でJERA社長に就任した小野田氏は「統合によるシナジー効果を出すことがまずは大事。従業員の力を一致させて同じベクトルで進めていく」と話し、燃料調達など統合効果として5年以内に年1千億円以上、利益を増やす目標を掲げた。25年度には昨年度の10倍以上となる2千億円の純利益をめざす。

再生エネに注力

 将来の収益源として力を入れるのが再生エネを中心にした事業だ。「日本の半分の供給能力を持つ私どもの責任は重い。再生エネがどんどん増える可能性があり、そこに機動力が高いLNGを組み合わせて安定供給に寄与したい」という。

 特に洋上風力に注力する方針で、まずは英国や台湾での海外事業に参画していく。小野田氏は「伸びしろが大きい領域。海外では大規模な事業を進めてきた実績もあり、強みがある。火力で培ったオペレーション・メンテナンスの技術力も使って、大型の洋上風力に取り組みたい」と意欲を見せた。

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