もう休んだらどうですか? 気づいた生き方 次は自分が

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古屋聡一
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カイシャで生きる 第27話

 この4月、仙台市青葉区に「リヴァトレ仙台」がオープンした。うつ病などに悩む人の復職や再就職を支援する施設だ。

 センター長の吉田淳史さん(36)は「生き方に悩んでいる人が、自分らしい人生を見つける場所になってほしい」と笑顔で話す。

組織の歯車として一日一日を懸命に生きる。ときに理不尽な人事や処遇に苦しんだり、組織と決別して新しい人生を歩むことを考えたり。さまざまな境遇や葛藤を経験しつつ、前に進もうとする人々の物語を紡ぎます。

 吉田さんは、施設を運営するベンチャー企業リヴァ(本社・東京都豊島区)が提供する同様のプログラムでうつ病から回復した、いわば卒業生だ。燃え尽き、自分でなくなってしまった自分に、「勝ち続けなくていい」という新しい生き方を気づかせてくれたプログラム。いまは、かつての自分と同じように苦しむ人たちに寄り添い、支えている。

負けたら終わりだ

 「100戦したら100勝しないと気がすまない性格でした」

 吉田さんは、29歳でうつ病と診断されるまでの自分をこう分析する。限界以上の仕事に直面しても、何とか自力でやりきってしまおうと思っていたという。

 大学ではアイスホッケー部のキャプテンだった。卒業後、大手飲料メーカーに就職した。職場では、同じ体育会系のラグビー部出身の先輩たちに圧倒された。大学ラグビー界で「レジェンド」と呼ばれていた先輩の姿も。「みんなビジネススキルも高いし、器も大きい。飲むお酒の量からして違いました」

 吉田さんは思った。

 〈この人たちには絶対に勝てない〉

 半年ほどで辞め、リゾートホテルを運営するベンチャー企業に転職した。

 仕事はハードだった。

 朝は5時起き。風呂や食事の…

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