「死刑」苦悩する裁判員 にらむ被告の顔が今も夢に

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北沢拓也
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 「本当にこれでよかったのか」「最高裁に任せるしかない」。裁判長が判決理由を朗読する間、裁判員の会社員男性(31)は胸が押しつぶされそうだった。最後に読み上げた主文は、今も耳から離れない。

 「被告人を死刑に処する」

 愛知県蟹江町で一家3人が殺傷された強盗殺人事件の審理を2015年、名古屋地裁で担当した。遺族は死刑を求めたが、どうしても引っかかる言葉があった。死亡した男性(当時26)と交際していた女性が「一生、罪を償ってほしい」と証言したことだった。「好きな人を殺された彼女が無期懲役を望むなんて……。死刑は執行されたら終わり。私も、償い続ける方が重要なように思えた」

 結論は死刑。「限られた時間の中、納得したというより、納得せざるを得なかった。素人にこんな事件をやらせないでほしい」

 18年、最高裁で死刑が確定…

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