「よく生きてくれた」処分逃れた引退馬 余生過ごす牧場

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華野優気
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 引退した競走馬が暮らす牧場が岡山県吉備中央町にある。木が生い茂る静かな山中にぽっかりと広がる「吉備ひだまり牧場」。約1・5ヘクタールの敷地で、白や茶色の12頭が暮らす。馬たちは草をはんだり、じっと遠くを見つめたり。牧場にはゆったりとした時間が流れている。

 「ここの馬は宝くじに当たったような確率を引き当てて来ている。よく生きて無事にたどり着いてくれたと思う」。牧場の代表を務める森光康裕さん(53)はしみじみと言った。

 森光さんによると、けがなどで走れなくなったり、成績が振るわなかったりした競走馬は、その多くが殺処分されているという。

 30歳まで生きると長生きとされる馬。多くの競走馬は8歳までに引退を迎えるが、性格が穏やかで乗馬クラブに引きとられていく馬などを除き、20年以上の余生を全うできるのは一握りという。

 森光さんは、競走馬を世話する厩務(きゅうむ)員として園田競馬場兵庫県尼崎市)などで勤務してきた。処分される競走馬を送り出すのも厩務員の仕事。家族であり、戦友でもある馬が肥育業者のトラックに運ばれていくのを見るのは胸が痛んだ。

 「足踏みして嫌がったり、いなないたりするのを見ると本当に泣けてくる。葛藤ばかりで何度経験しても慣れなかった」

 競走馬は利益を生み出すため…

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