鹿児島)奄美の成り立ち語る花、8種のカンアオイ
外尾誠
【動画】奄美大島に自生する8種のカンアオイの仲間。いずれも絶滅が危惧されている=外尾誠撮影
奄美大島の成り立ちを語る特別な希少種――。島在住で自然に詳しい東大医科学研究所の服部正策・特任研究員(65)がそう評価する植物がある。冬から春にかけ、地表近くで筒状の花を咲かせるカンアオイの仲間だ。なぜ特別なのか。島に自生する計8種の生息地を歩きながら探った。
「今年も会えた!」。先月、森を案内してくれた服部さんが笑顔で指をさした木の根元で、トリガミネカンアオイが咲いていた。美しい緑の花は直径15ミリ弱と小型。筒は入り口が狭いトックリ型で「この中にできた種を運ぶのは地をはうアリ。鳥や風、海流によって種が広がる植物と違い、海を越えられない」という。
島は数百万年前までユーラシア大陸の一部で、地殻変動などで近くの島々との分離や結合を繰り返して今の姿になったとされる。海を渡れないカンアオイの存在は、かつて奄美が大陸とつながっていたことを物語る、と服部さんは話す。
別の森に移ると、グスクカン…