私の夫と結婚してください 受け取ったバトン、その先に
河崎優子
20年前。ゆかりさんは、ある子宮がん患者の主治医になった。
その年の春から、川崎市の病院で緩和ケアを担当。入院してきた患者のゆり子さんと、夫の雄二さんはむつまじかった。夫は病院に寝泊まりしながら仕事に通った。そんな夫婦の治療の相談に乗りながら、病室で3人で食事をすることもあった。
夏の終わり。妻が冗談ぽく夫に言った。
「もう、あと長くは生きられないけど、あなたは再婚してね。でも、私が認めた人じゃないとダメ」
そして、病室にいたゆかりさんを指さした。「それは、この人」
夫は「なに言ってんだよ」と…