有刺鉄線・地雷警告… 平昌から2時間、対北朝鮮最前線
江原道=高野遼 ソウル=牧野愛博
【動画】北朝鮮と向き合う韓国北部を訪ねた=高野遼撮影
平昌(ピョンチャン)冬季五輪の会場から車を走らせ、北へ2時間。
「あの山を越えれば北朝鮮だ」。運転手が指した先へ山道を進むと、看板が現れた。
「南方限界線 非武装地帯 進入禁止」
銃を手に、迷彩服を着た若い軍人が検問所で待ち構える。許可を得て、山頂の展望台まで上った。眼下に有刺鉄線のフェンスが延々と横切る。4キロにわたる「非武装地帯(DMZ)」を挟んで、その向こうは北朝鮮。撮影は禁じられた。
韓国北部の楊口(ヤング)郡。平昌と同じ「江原道(カンウォンド)」(日本の都道府県にあたる)にある。五輪の開会式を前に、「国境沿い」の地域を歩いた。
気温零下10度。肌を刺すような風に乗って、演説する男性の声が聞こえてきた。「対南放送」と呼ばれる北朝鮮からの宣伝放送だ。テレビで聞き覚えのある力強いイントネーションで金正恩体制を礼賛する。ここまで、宣伝ビラが飛んでくることもあるという。
道の脇には、あちこちに「地雷」の看板。戦争時に、互いの軍が埋めたものだ。パンチボウル町と呼ばれるこの地は、朝鮮戦争での最激戦地だった。
いまも一帯には厳戒態勢が敷…