(京の隠れ里に住んで)山里の夏、松明で「虫送り」

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福野聡子
【動画】松明を手に「泥虫でていけ」 伝統行事「虫送り」=福野聡子撮影
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 京都市最北端にある久多(くた)。中心部から車で約1時間、山々に囲まれた約90人の小さな集落です。山里の夏は、草や虫との「おつきあい」が欠かせません。7月15日の夜には、伝統行事「虫送り」があり、松明(たいまつ)の火で害虫を追い払いました。暑い中、田んぼや家周りの草刈りも大変です。でも、昔からの知恵で、お茶などにうまく活用している方もおられます。

闇に浮かぶ明かり

 「泥虫でていけ、刺し虫でていけ」「すっとすっとすっとせい」。夕闇の山里。かけ声、鉦(かね)・太鼓の音とともに、松明の明かりが幻想的に浮かび上がります。

 虫送りは、松明の火を持って練り歩き、害虫を追い出すという行事。昔は全国の農村で広く行われていたと言います。

 久多の虫送りは、久多川の本・支流の上流(上の町・宮の町)からそれぞれ出発、田んぼや川沿いの道を下流の方へと歩いていきます。上の町の住民が付けた松明の火は、中の町に引き継がれ、志古淵(しこぶち)神社前へ。下流にある下の町の住民は、中の町、宮の町の松明が来るのを待って、神社から出発する……というリレー方式です。

 今年は松明を点火する最初から見たいと、一番奥から出発する上の町へ向かいました。ところが、少々遅れてしまい、点火を済ませて歩いている上の町の行列と遭遇。中の町との引き継ぎ地点「上の宮神社」まで一緒に歩いたあと、午後8時から出発する宮の町へ、急いでとって返しました。

 宮の町では、一番川上のお宅の前に十数人が集まっていました。そばには割った竹を束ねて作った1.5メートルほどの松明が。「あっ、飛んでる」。川沿いとあってホタルが飛び交い、子どもたちから歓声があがりました。8時少し前、大人も手伝って松明に火がつけられ、さぁ出発です。

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 太鼓と鉦は「ド・ロ・ム・シ…

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