夏目漱石「吾輩は猫である」206

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 「さすが年の功だね、何にも言わずに巻烟草を五、六十本半紙にくるんで、失礼ですが、こんな粗葉(そは)でよろしければどうぞ御呑み下さいましといって、また湯壺(ゆつぼ)へ下りて行ったよ」

 「そんなのが江戸趣味というのでしょうか」

 「江戸趣味だか、呉服屋趣味だか…

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