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橋下氏の本拠、背水の陣 得票積み上げ維新必死 大阪

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橋下氏が国際戦略総合特区や法人税減免などで企業誘致に力を入れる、JR大阪駅北側の「うめきた」地区。休日などは大勢の人でにぎわう=13日、大阪市北区、森井英二郎撮影

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橋下氏が国際戦略総合特区や法人税減免などで企業誘致に力を入れる、JR大阪駅北側の「うめきた」地区。大阪経済浮揚の鍵をにぎる=大阪市北区、森井英二郎撮影

 橋下徹共同代表(大阪市長)の旧日本軍慰安婦をめぐる発言などの影響で、苦戦を強いられる日本維新の会。本拠地・大阪選挙区では、トップ当選できるかどうかが今後の橋下氏の求心力を左右する、と地元議員らが総力戦の構えだ。苦杯をなめ続けてきた自民党は、参院選を機に橋下氏の力をそごうと攻勢を強める。

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 【左古将規、南彰】「いま維新は大変なピンチ。負けるわけにはいかない戦い。何としても大阪で勝たせて下さい」。18日夜、大阪府東大阪市で維新新顔、東徹氏の応援演説に立った松井一郎幹事長(大阪府知事)は声を張り上げた。

 ここ数年間、大阪の選挙ではほぼ負け知らずの維新だが、今回ばかりは幹部にも危機感が漂う。12日夜、大阪市中央区の維新本部で党副代表の今井豊府議は府内選出の府議、市議、国会議員約100人を前に「地元で票を出せへん限り、票が出るとこはないんや。自分らの組織を掘り起こせ」とはっぱをかけた。

 維新の地方議員らは昨年の衆院選では全国各地で候補者の支援に回った。橋下氏の発信力により無党派層を引きつけて支持を伸ばしたが、議員らは「参院選は無党派層だけに頼れない」と、それぞれの地元に張り付いて「地上戦」を徹底する。松井氏は公示の4日から18日までの15日間のうち12日間、大阪で東氏のてこ入れをしている。

 維新内部では、石原慎太郎共同代表が率いた旧太陽の党や東京側の国会議員と、維新発足時のメンバーとの東西間の主導権争いが続いてきた。大阪側メンバーは「西軍の大将」である橋下氏の求心力維持のためにも、大阪でのトップ当選にこだわる。橋下氏も15日、大阪府豊中市での演説で「自民党が一番手で当選してしまうと、大阪でも既存政党が強いのかとなってしまう。トップ当選させていただきたい」と訴えた。

 6月の東京都議選で惨敗後、橋下氏は「もう一度、信を問いたい」と参院選に臨んだ。参院選の結果を受けた去就について周辺に「(党内で)言われたようにしようと思っている」と、選挙後の党内情勢次第との考えを示したという。

 今のところ党内で橋下氏への批判はほとんど上がらない。石原氏は「橋下君が投げ出すようなことがあれば、すべてが終わってしまう」と述べているという。東京側の維新幹部は「何議席でも責任論なんて出ない」と話す。

 橋下氏は17日、広島市での演説で「これから自民党が巨大な勢力になる。対抗する勢力をつくっていかなければいけない。維新も次のステップのための党。新しい政治グループが必ず生まれる」とも訴えた。橋下氏は参院選後、野党再編に動くとの見方も党内で広がっている。

■追い風自民、復権狙う

 【京谷奈帆子】18日夜、自民新顔の柳本卓治氏は大阪府豊中市の個人演説会で「維新の会はつぶさないといけない。本当は橋下君に立候補してもらって、橋下君をやっつけたかった」と訴えた。演説会では「大阪は横一線。気を抜いたところが負ける」(中曽根弘文・党参院議員会長)とトップ当選を目指す声が続いた。

 大阪で維新に対する自民の憎しみは深い。松井氏ら自民党を離党した議員らが大阪維新の会を結成して以来、主要な選挙で負けが続いた。橋下、松井両氏は安倍晋三首相や菅義偉官房長官と地元の自民党の頭越しに関係を築き、憲法改正などで連携を模索してきた。

 だが、橋下氏の一連の発言以降、維新の市議が1人、離党届を提出。否決されたが、橋下市長の問責決議案も提出された。自民党大阪府連関係者は「参院選で自民党が勝てば、自民から維新に行った府議や大阪市議が維新離れを起こす。維新崩壊が始まる」。参院選が橋下氏の影響力を減退させる好機だ、とみる。

 9月に大阪都構想にかかわる堺市長選があり、来年は都構想の住民投票も想定される。橋下氏らが重視する政策にストップをかける意味でも、自民党府連幹部は「勝ち方が大事だ」と周囲に強調している。

 ほかの党も橋下氏への批判を強める。4日、民主現職の梅村聡氏の応援に駆けつけた細野豪志幹事長は「ここは維新の総本山。だからこそ皆さんに問いたい。安倍政権の暴走を止められるのは維新か。それとも生活者を代表する民主党か」。14日、共産新顔の辰巳孝太郎氏の応援演説で志位和夫委員長も「慰安婦問題での暴言を反省しようとしない人物に公人の資格はない。暴言を容認し、党首にかついでいる維新に国政を語る資格はない」と訴えた。

     ◇

 〈橋下徹氏と大阪〉橋下徹氏は大阪府知事だった2010年4月、大阪府と大阪市、周辺市を再編する「大阪都構想」実現を目指し地域政党・大阪維新の会を発足させ、代表に就いた。11年春の統一地方選では大阪府議会で過半数の57議席を得て、大阪、堺両市議会で第1党になった。同年11月には大阪府知事・市長ダブル選に勝ち、橋下氏が大阪市長に、松井氏が知事に就任。橋下氏は昨年9月、国政政党・日本維新の会を設立した。同年12月の衆院選で54人が当選し野党第2党に。大阪府内の19小選挙区では14人が立ち、このうち12人が勝利した。

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■大阪選挙区(改選数4。敬称略)

東   徹 46 維新 〈元〉府議

藤島 利久 51 無新 政治団体代表

森  悦宏 46 諸新 幸福の科学職員

梅村  聡 38 民現 医師

長嶺  忠 52 無新 〈元〉三洋電機社員

杉  久武 37 公新 公認会計士

中村  勝 62 諸新 政治団体代表

辰巳孝太郎 36 共新 党府委員

安座間 肇 35 み新 ホテル会社員

吉羽 美華 32 大新 〈元〉寝屋川市議

柳本 卓治 68 自新 〈元〉衆院議員

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