(EYE モニターの目)今月のテーマ:能登半島地震の報道

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 ■国や行政の問題点、追及を

 阪神・淡路大震災を経験している私は3年前に金沢に転勤してきて、「石川は地震が結構多いな。注意がいるな」と感じていた。2月1日朝刊1面、2面の「検証 能登半島地震/『大災害起きない』はずが」を読み、有感地震が増えてきているにもかかわらず、行政が古い地震被害想定をなかなか見直さないままにしていた経緯がよく分かった。今回あらわになった国や自治体の問題点は、引き続き徹底的に追及してほしい。(藤岡隆浩 59歳 石川県)

 ■似た地域の災害対策知りたい

 アクセスの難しさや地域医療の脆弱(ぜいじゃく)さ、高齢化は、能登半島に限らず全国各地に共通する課題だ。私は青森県在住なので、下北半島で大災害が起きたらどうなってしまうのか、不安に思う。小さな子どもや高齢者、障害のある人の避難は特に大変だろう。備蓄の必要量も気になる。地震対策は都会と地方では違うはず。能登半島地震を検証し、今後の災害に備えることが重要だ。能登と似た特性の地域の災害対策を取材してほしい。(長谷川和代 30歳 青森県)

 ■「8がけ社会」での地震対策は

 46都道府県知事へのアンケートを元にした紙面とデジタルの記事「知事に聞く 能登半島地震」(2月2、3日)で、「共助」の仕組みが困難になっているとの認識の知事が約9割に及ぶと知り、1月の朝刊総合面連載「8がけ社会」を思い起こした。2040年には現役世代が今の8割になるという「8がけ社会」に向けて、大規模地震にはどのように備えたら良いのだろうか。各知事の思いの丈をもっと生の声で聞きたいと思った。(塚本由美 55歳 静岡県)

 ■配慮行き届く取材、模索して

 2月1日朝刊社会面「生きる これからも一緒に/能登地震 亡きあなたを思う」が印象に残る。亡くなった方の人となりや遺族の思いは涙なしに読み通せなかった。このような記事は有意義だと思う半面、過度な取材行為が遺族や被災者の方に心理的な負担を強いていないか、心配にもなる。本人が記事化を望んでいるケースもあるだろうが、望まぬ取材が集中する人もいるだろう。配慮が行き届いた取材方法を模索してほしい。(中村雄弥 46歳 長野県)

 <自分事として考え、「命」を守るために>

 災害報道の目的は、大げさにいえば「命」を守ることだと考えています。すでに被災された方々に、これ以上負担や犠牲を強いてはなりません。また多くの方に、今後起こる災害にどう備えるかを考えてもらわなければなりません。そのためには、被災された方に配慮しつつ、現地で何が起きているのかを伝え、これまでを検証していく必要があります。

 今回の能登半島地震では、「高齢化」や「人口減」が復興に向け、論点となっています。これはこの国が突きつけられている課題そのものです。被災された方々もその点を不安視し、石川県を除く46知事らのアンケートからも、「ひとごとではない」という受けとめが広がっていました。

 来年1月には阪神・淡路大震災から30年を迎えます。この間にも様々な地震や豪雨被害に見舞われた「災害大国」で、自分事として考えてもらえる報道を心がけていきます。(大阪社会部長・田村隆昭)

 ◇東京本社発行の朝刊、夕刊の最終版をもとにしています

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