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美の季想
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国宝「薬師寺東塔」。現在、解体修理中で、来年4月に落慶法要の予定=2007年、奈良市西ノ京町
10月、旧暦では神無月とも言う。私が古都奈良のお寺巡りの旅にはじめて出たのは、学生時代の夏休みであったが、そのあいだ中、私の心には薄田泣菫(すすきだきゅうきん)の長編詩「ああ、大和にしあらましかば、いま神無月、」が絶えず鳴り響いていた。「うは葉散り透く神無備(かみなび)の森の小路を、/あかつき露に…