アスベスト使用の旧庁舎売却は説明義務違反 銚子市が損賠に同意
2019年に千葉県銚子市が市内の会社に150万円で売却した旧消防庁舎の土地と建物について、市が売却の際、アスベストの残存に関して説明義務違反があったとして、市は千葉地裁八日市場支部の調停案に従い、買い主の会社に約963万円の損害賠償金を支払うことを決めた。6日に開会した市議会6月定例会で、賠償金など約1296万円を支出する補正予算案などを全会一致で可決した。
旧消防庁舎は1971~2017年に使用されていた。土地は約886平方メートル、建物は鉄筋コンクリート造り3階建てで、延べ床面積約1258平方メートル。すでに取り壊されている。
市は18年、買い主が建物の取り壊しなどを負担する「現況渡し」での価格設定で売却先を募り、19年3月に売買契約が結ばれた。しかし、買い主が取り壊し前に行った調査で各所でアスベストが見つかった。その後、売却時に十分な情報が提供されなかったとして賠償請求の訴えが起きていた。
裁判所の調停案では、市について「不法行為(説明義務違反)に基づく損害賠償は免れない」との見解が示された。
過失割合は市が35%、原告の売却先側が65%。双方とも受け入れるとみられ、市の賠償額は963万円となり、弁護士費用などを含め1296万円の支出となる。
市によると、アスベストの使用が規制され始めた1975年以前に建設された公共施設は、小中学校や市営住宅など約220棟が現存している。内装材については、当時の設計図書などからアスベスト含有材の有無を調査し、確認した場合には、撤去や封じ込めなどの対策を実施済みだという。ただ非飛散性の外壁塗料については、アスベストの有無など未調査で、今後再発防止のために、建物の解体撤去や利活用の前に、含有調査を実施することにしているという。(根岸敦生)…
- 根岸敦生
- 千葉総局|銚子・旭地区担当
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