被害者の個人情報含む資料、捜査対象の男に盗まれる 無施錠の車から

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 警視庁の捜査員が、暴力団事件の捜査で松山市に出張中、事件の被害者の個人情報が含まれる捜査資料を盗まれていた。警視庁が17日、明らかにした。愛媛県警が3日に資料を盗んだ疑いで男を逮捕したが、資料は見つかっておらず、被害者に危害が及ぶ可能性があるとして警視庁は被害者を保護した。

 警視庁組織犯罪対策総務課によると、盗難が発生したのは4月30日正午ごろ。警視庁小松川署で暴力団犯罪を捜査する50代の男性警部補と20代の男性巡査長の2人が、暴力団員らによる傷害事件の捜査で出張中、松山市内の駐車場に車をとめた。その際、捜査で一時的に2人とも車から離れた。車は無施錠で、捜査対象だった20代の男が車内を物色し、捜査資料が入ったファイルを盗んだという。

情報のファイル見つからず 謝罪して保護

 警部補がその日のうちに愛媛県警に窃盗の被害届を提出。県警が5月3日、県外にいた男を窃盗容疑で逮捕した。男はファイルを持っておらず、見つかっていない。男は暴力団員ではないという。

 ファイルには傷害事件の被害者の男性の個人情報が含まれていた。警視庁はこの男性に事情を説明して謝罪し、保護しているという。事件翌日の5月1日、国の個人情報保護委員会に報告した。

 岩浅太一・組対総務課長は「個人情報が含まれる資料が盗難被害にあったことは遺憾であり、関係者に心からおわび申し上げるとともに再発防止に向けて捜査員に対する指導教養を徹底して参りたい」と話した。ファイル紛失時に公表しなかった理由は「愛媛県警と小松川署の捜査に支障をきたすおそれがあったため」とした。

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