「恵」の事業者指定取り消しへ 全国の100グループホームに影響か

寺沢知海 松島研人
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 愛知県名古屋市は、障害者グループホーム(GH)運営大手の「恵(めぐみ)」(本社・東京都港区)が組織ぐるみで障害福祉サービス等報酬を不正請求していたと認定し、計5カ所のGHの事業者指定を6月中旬にも取り消す方針を固めた。障害者総合支援法の規定により、同社は12都県にある約100のGHの運営ができなくなる見通しで、利用者への影響が懸念されている。

 同社をめぐっては、2022年5月、愛知県内のGHで知的障害や精神障害のある入居者から実費の3倍ほどの食材費を徴収し、残りを同社の利益としていたことが、施設職員の情報提供から判明。過大徴収の総額は県内の26GHで計2億1799万円に上り、名古屋市などが「経済的虐待」と認定した。

 調査の過程で、同社が勤務実績がない職員が働いていたように装うなどして障害福祉サービス等報酬を複数のGHで不正請求していたことも確認。その額は名古屋市だけでも約1億3千万円に上り、「極めて悪質」と判断した。

 県は同県幸田町のGHの指定を取り消す方針を固め、恵側に「聴聞」の日程を通知。名古屋市も市内4カ所のGHについて、近く通知する。6月中旬にも正式に処分に踏み切る方針だ。

 障害者総合支援法の規定では、指定取り消しの理由となった不正に法人の組織的な関与が認められれば、いわゆる「連座制」が適用され、全国にある他のGHも6年ごとの指定更新が認められず、運営が事実上できなくなる。利用者は退去したり他の施設に移らざるを得なかったりする可能性があり、県などはGHが立地する自治体が利用者支援とサービスの確保に取り組めるよう、厚生労働省と協議を始めた。

 同社は18年に名古屋市で障害者向けGHを開設したのを皮切りに、有料老人ホームや放課後等デイサービスなどの福祉サービス事業を幅広く展開。27施設ある愛知のほか、東京や埼玉など首都圏を中心に12都県で約100のGHを運営している。定員は計約2300人にのぼる。(寺沢知海、松島研人)

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