派閥を舞台とする裏金事件を受け、自民党は政治資金改革に着手する。だが、実態解明に背を向けたままで、「政治とカネ」にかかわる事件の再発防止につながるのか。自民党内の議論の場に有識者として出席し、抜本的な改革を訴えた谷口将紀・東大教授(現代日本政治論)に現状と展望を聞いた。
――安倍派の会計責任者の初公判が開かれましたが、裏金事件の真相解明につながる言及はありませんでした。
今回の公判は、政治資金収支報告書への不記載の罪を審理する場。公判での検察側の役割は全体の真相解明ではなく、会計責任者の罪を立証することだ。政治家との共謀は起訴内容の本筋ではなく、一連の公判で実態の全てが明らかになることはないだろう。本来は政治家が実態解明を果たすべきだ。ただこれ以上、政治家側がそれに取り組む見込みは薄いとも思う。
――岸田文雄首相が、真相究明を置き去りにするため、政治資金規正法の改正で国民の目線をそらせようとしているようです。裏金事件にふたをしたいように映ります。
首相は損得勘定をしたのでは…