なぜ平日にデーゲーム? 日本ハム・楽天が注目する「新たな価値観」

 プロ野球で平日の集客は課題の一つ。仕事帰りのファンの来場を見込めるナイトゲームではなく、あえて動員が厳しいデーゲームで開催する球団がある。

 スポーツ観戦を学びの場にしたり、多様化する働き方に合わせたり。東北楽天ゴールデンイーグルスと北海道日本ハムファイターズの取り組みを追った。(笠井正基、畑中謙一郎)

観客減に危機感

 楽天は14日の火曜日、15日の水曜日の本拠でのソフトバンク戦をデーゲームに設定した。

 宮城県内の小中学生が試合前に職場体験をした後、試合を観戦できるようにするためだ。

 野球中継だけでは伝わりにくいプロ野球の仕事を知ってもらおうと、2017年に始まり、今年で7回目(20年は新型コロナウイルスの影響で中止)。参加者は昨年の計約1470人より少ないものの、今年は計約600人の参加を予定する。

 小学生は弟子入り、中学生は職場体験とうたい、観客席の清掃やグッズ販売店でのレジ打ち、マスコットの誘導などを体験する。今年はサステイナブルをテーマに、ごみの分別回収などを通して環境保護などを考える体験も新たに企画する。

 楽天は昨季、観客動員数が12球団ワーストの約136万人(1試合平均で約1万8900人)に落ち込み、現場の職員は危機感を持つ。

 ここ数年はレジャーの多様化や、コスパ(費用対効果)やタイパ(タイムパフォーマンス、時間的効率)を求める傾向が強まり、プロ野球観戦へのハードルの高さを感じているという。

 この企画を担当する球団の村…

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    田中俊之
    (大妻女子大学准教授 男性学研究者)
    2024年5月9日18時9分 投稿
    【視点】

    楽天ゴールデンイーグルスの取り組みは、社会の役に立ちながら同時に球団の利益にもつながるという点で素晴らしい取り組みだと思います。職業体験を通して球場の運営を経験した上で、観戦するプロ野球は小中学生にとって特別なものになる可能性が高いと思いま

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    稲崎航一
    (朝日新聞大阪スポーツ部長)
    2024年5月9日18時9分 投稿
    【視点】

    わたしが楽天イーグルス担当だった2007~09年ごろも春先、平日のデーゲームは開催されていました。 この季節、仙台の夜はまだ肌寒い。お客さんもなかなか足を運んでくれない。ということで、苦肉の策のデーゲームでした。 しかしいま、そこに付加価値

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