ホワイトハウスを包んだ琴の音 日系米国人の歴史から学ぶこと

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記者コラム 「多事奏論」 アメリカ総局長・望月洋嗣

 4月10日、国賓待遇で訪米した岸田文雄首相の到着を待つホワイトハウスを「さくら さくら」の琴の音が包んだ。

 奏でたのは、岡本京子さん(86)。建物の南側に広がる芝生の庭「サウスローン」に面したバルコニーで、2人の「弟子」と15分間の演奏に臨んだ。首相の到着後、屋内で日米両首脳を前に約3分の演奏も披露。両首脳や夫人たちと記念撮影もした。

 静岡県三島市出身の岡本さんは1960年に看護学を学ぶために渡米。高校時代に習った琴を再開し、ワシントン郊外のメリーランド大で昨年まで半世紀にわたって教えた。生徒は5千人以上になる。

 2人の子を育てながら指導を続けられたのは、他界した夫ポールさんの理解と協力も大きかった。日系2世のポールさんは、マサチューセッツ工科大を卒業後に国防総省などで働いた。琴の台座などを手作りし、演奏生活を支えてくれた。

 ただ、戦時中、日系人収容所…

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