「東京の人口、地方に分散を」消滅可能性分析、訴えた島根県の市長

中川史
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 全国の自治体の4割に「消滅可能性」があると、有識者でつくる人口戦略会議(議長=三村明夫日本製鉄名誉会長)が4月24日に公表した分析結果をめぐり、島根県大田市の楫野(かじの)弘和市長が「小池(百合子・東京都知事)さんに大反対されそうだが、東京の人口を地方に分散していく努力を、政府を挙げてしていく必要がある」と4月26日の定例会見で訴えた。

 「消滅可能性」の分析基準は、2020年から50年までの30年間に20~39歳の女性人口が50%以上減少するとの推計。大田市は2014年に日本創成会議が発表した「消滅可能性都市」に含まれていたが、定住政策の努力もあって今回は「49・49%」にとどまり、基準を脱した。

 それでも楫野市長は「四捨五入すれば50%。線引きの50%が何の意味を持つのか」と話し、「人口問題で、個別の自治体の競争心をあおったってしょうがない」とばっさり。国が主導した首都機能移転の議論も「全然本気じゃない、まさに弥縫(びほう)策」と断じ、「いまだに東京に若い人が集中して、国を滅亡させる気か」と収まらなかった。

 国民の意識も「将来もらえる年金が減るかもしれないのに、何となしに少子化問題は子育て世代、現役世代のことと思っていて、国民的議論になっていない」と指摘。「国はもっと分かりやすく、国民にアピールなり報告なりすべきだ」と畳みかけた。(中川史)

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