「魔法使いか、悪魔の子か」 麿赤兒さんが語る唐十郎さん

有料記事

聞き手 編集委員・吉田純子

 野外の紅(あか)テント公演で知られる「状況劇場」を結成し、演劇界に激震を起こし続けた唐十郎さんが4日、84歳で亡くなった。「状況劇場」の旗揚げにともに携わり、唐さんが提唱した演劇論「特権的肉体論」のイマジネーションの源となった舞踏家の麿赤兒(まろあかじ)さん(81)が、唐さんとの出会いからその独自の美学までを、その死を悼みながら語った。

彼はフロイト、僕は実験材料

 魔法使いというべきか、悪魔の子というべきか。すごく端正で、卵のむき身のようにきれいな風貌(ふうぼう)。それでいてニヤッと笑うと、内に秘めた何か不思議なものがにじみ出てくる。すごく謎めいた、魅力的なオーラを持った人物でした。

 出会ったのは1960年代の新宿の、「風月堂」という喫茶店。やおら近付いてきて、紙っぺらを渡された。

 2、3行のセリフのような言葉が書かれていたのだけど、その2、3行が放つ光に何か閃(ひらめ)くものがあり、僕は一緒に芝居をやることにしました。運命的でした。

 僕が居候していた舞踏の創始…

この記事は有料記事です。残り1556文字有料会員になると続きをお読みいただけます。

※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません