第4回消せぬフェイク、女性政治家を標的 「バズりそう」内容見ずに拡散
「『みる・きく・はなす』はいま」は、1987年5月3日に朝日新聞阪神支局が襲撃され、記者が殺傷された事件をきっかけに始まりました。憎悪、差別、不寛容……。今回は、デジタル空間で増幅された感情が現実社会にもたらす影響を報告します。
昨年11月19日午後2時。「進撃のJapan」というXのアカウントを運営する男性は、いつものように投稿の「ネタ」を探していた。ある投稿が話題になっているのを見つけた。
「塩村あやか議員『恥ずかしながら私の大学生の娘もホストにはまり風俗で働いています』 え?娘がホスト狂い?なんで躾(しつけ)が出来ない親の尻拭いに税金使うの?」
立憲民主党参院議員の塩村文夏(あやか)(45)の国会質問を編集して、一部だけを切り抜いた動画に、そう書かれていた。
「ルーティンでやってしまった」
「バズりそうだな」。スマホの画面を長押しして、「動画をポスト」のボタンを押した。「えっ。なんで塩村議員のホス狂いの娘のために、税金使って援助するのよ。。。。」と書き添えた。音を出せない環境で、動画の内容は確かめなかった。
実際は、塩村が悪質ホストクラブの被害者の母親の手紙を代読し、取り締まり強化を求めていた。だが、「自分の娘を家庭で守らずに国で守ろうとするのは公私混同では?」などと事実であるかのように広がっていった。
その日の深夜、Xを見ていて…
- 【視点】
日本の女性政治家に対するX(研究当時はTwitter)上でのメッセージ分析を行った少し前の研究としてFuchs and Schäfer(2020)があります。野党の女性政治家のほうが攻撃の対象となりやすいことは、当時から指摘されてきました。
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