博物館資料、持続可能な未来とは 予防保存の浸透、市民とともに管理

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編集委員・中村俊介
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 激変する地球環境を前に、SDGsの波は博物館にも及ぶ。膨大な収蔵品を、いかに適正に後世へ伝えるかは最重要課題だ。温暖化を引き起こす燻蒸(くんじょう)ガスが禁じられ、より効率的で環境にやさしい保存手法の整備が急務となっている。博物館資料の「持続可能な保存」とは――。

 博物館の所蔵品は多種多様だ。なかでも美術工芸品や歴史資料、民俗資料には紙や繊維など朽ちやすい有機質素材も多く、虫やカビは大敵。その対策は欠かせない。

 文化人類学研究を軸に創設50年を迎えた国立民族学博物館(民博、大阪)は2月、文化財保存修復学会と共催で国際シンポジウム「博物館における資料保存の過去、現在、そして未来」を開いた。民博で保存科学に携わってきた園田直子名誉教授は、収蔵品保存には「日常の地道な点検やスタッフの意識向上、生物の生息調査、温湿度モニタリングなど情報共有の場を持つことが大事」と訴えた。

 民博が誇る世界屈指のコレク…

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