部品や材料の約7割は、日本製だった 「ダビンチ」が伝える教訓

有料記事序破急

論説委員・行方史郎=科学・医療社説担当
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 「ダビンチ」といえば、もはや知らない外科医はいないのではないか。がんをはじめ多くの手術で使われている手術支援ロボットだ。開発した米インテュイティブサージカル社によれば、世界で8千台以上、日本でも700台以上が導入され、圧倒的なシェアを誇る。

 ただ、米国で2000年に承認されたのに対して、日本での承認は09年と遅い。このころの状況を、政府の総合科学技術会議(当時)の民間議員を6年間務め、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の前理事長でもある奥村直樹さん(78)の著書『骨太の学び』(金港堂出版部)で知った。

 ロボットが手術に関与することに反対があったとは想像がつく。そこで非公式な形で議員らに意見聴取の機会が訪れたそうだ。新日鉄(現日本製鉄)の研究開発部門に長く勤めた工学博士の奥村さんは、同社の技術者にもヒアリングをし、承認に前向きな意見を述べたという。

 驚くべきは当時使われていた…

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