難民申請者の第三国移送、欧州で広がり 「責任転嫁、憂慮すべき」

有料記事

パリ=宋光祐 ロンドン=藤原学思 聞き手・藤原学思=ブリュッセル
[PR]

 より良い生活を求め、必死の思いでたどり着いたのに、強制的に「第三国」に送られる――。今後欧州で、そんな光景があたり前になるかもしれない。

 英国で25日、新しい法律が成立した。政府は「ルワンダ安全法」と呼ぶ。英国にたどり着いた一部の難民申請者を、「安全な第三国」と位置付ける東アフリカのルワンダに強制移送するためのものだ。

 ジョンソン首相(当時)の計画発表から2年。スナク首相は今年7月前半にも「第1便」を飛ばすべく、すでに複数の民間チャーター機を押さえたと強調した。

 受け入れるルワンダは現金を得る。その額は、1人当たり約15万ポンド(約2950万円)。それでも、英政権側は、難民申請者が仮に英国に5年間滞在した場合、宿泊費などのコストがそれを上回ると訴えている。

 英国には昨年、3万人弱が小型ボートでフランスから海峡を渡ってたどり着いた。今年1~3月にも、ベトナムアフガニスタンから5千人超が確認され、過去最多ペースとなった。

 難民条約の締約国である英国…

この記事は有料記事です。残り1361文字有料会員になると続きをお読みいただけます。

※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません

  • commentatorHeader
    錦田愛子
    (慶應義塾大学教授=中東政治、難民研究)
    2024年5月1日6時30分 投稿
    【視点】

    2015年の欧州難民危機での経験を経て、ヨーロッパ諸国は難民を受け入れることのリスクとコストを学んだ。難民に混じり、過激な思想の持ち主やテロリストが紛れ込む可能性や、それを危惧する国民からの批判が、政権運営を揺るがすこともある、という教訓だ

    …続きを読む