より良い生活を求め、必死の思いでたどり着いたのに、強制的に「第三国」に送られる――。今後欧州で、そんな光景があたり前になるかもしれない。
英国で25日、新しい法律が成立した。政府は「ルワンダ安全法」と呼ぶ。英国にたどり着いた一部の難民申請者を、「安全な第三国」と位置付ける東アフリカのルワンダに強制移送するためのものだ。
ジョンソン首相(当時)の計画発表から2年。スナク首相は今年7月前半にも「第1便」を飛ばすべく、すでに複数の民間チャーター機を押さえたと強調した。
受け入れるルワンダは現金を得る。その額は、1人当たり約15万ポンド(約2950万円)。それでも、英政権側は、難民申請者が仮に英国に5年間滞在した場合、宿泊費などのコストがそれを上回ると訴えている。
英国には昨年、3万人弱が小型ボートでフランスから海峡を渡ってたどり着いた。今年1~3月にも、ベトナムやアフガニスタンから5千人超が確認され、過去最多ペースとなった。
難民条約の締約国である英国…
- 【視点】
2015年の欧州難民危機での経験を経て、ヨーロッパ諸国は難民を受け入れることのリスクとコストを学んだ。難民に混じり、過激な思想の持ち主やテロリストが紛れ込む可能性や、それを危惧する国民からの批判が、政権運営を揺るがすこともある、という教訓だ
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