東京・福生市長選、現職の加藤育男氏が5選 新顔との一騎打ち制する

森治文
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 東京都福生市長選は28日投開票され、無所属現職の加藤育男氏(70)=自民、公明推薦=が、無所属新顔で元小学校教諭の牛久保真知子氏(71)=共産推薦=を破り、5選を果たした。当日有権者数は4万5105人。投票率は過去最も低かった前回の31.29%を上回り、35.03%だった。

 午後10時過ぎ、福生駅近くの加藤氏の選挙事務所に当選の一報が入ると、集まった支持者らから大きな拍手が起きた。加藤氏は「厳しい選挙を勝ち抜いたことで、しっかりと市政運営をしていく責任をひしひしと感じている。福生駅西口再開発などのハード面や、高齢者福祉などのソフト面に、スピード感を持って取り組みたい」と語った。

 その一方で、選挙戦では、今の政治不信について若者から「どう考えているのか」と問われる場面もあったという。自民党員でもあり、今回の選挙で自民党から推薦を受けた加藤氏は「申し訳ない」と謝った。「国政とは関係ないが、逆風は感じた」と話した。4年前と同じ顔ぶれの選挙で、自らの得票は微増にとどまった一方、共産党推薦の相手候補は大きく得票を伸ばした。

 選挙戦で加藤氏は、子育て世代の支援や福祉バスの運行など少子高齢化対策の実績をもとに、人口減少時代の市の将来に向け、再開発や災害対応力の強化、駅のバリアフリー化などの必要性を訴えた。地元国会議員や現職閣僚らも応援に駆けつけて中央とのパイプも強調。「コロナ禍後の難しい市政のかじ取りは自分にしかできない」と主張し、支持を得た。

 4年前の前回に続いて加藤氏に挑んだ牛久保氏は駅西口再開発の白紙化や、今ある公共施設の削減反対、国へのオスプレイ飛行禁止要請などを訴えたが、及ばなかった。前回の得票数は加藤氏の約3割の3284票だったが、今回はそれをより約1200票増えた。(森治文)

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