「地図から消えても記憶だけは」 全国の廃村1千カ所回り見えたこと

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西田有里
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 さいたま市の浅原昭生さん(62)が、集落から人のいなくなった「廃村」と出会ったのは、約40年前のことだった。廃村に魅せられ、訪れた場所は全国で1千カ所を超えた。

 大学生のころ、新潟県内を旅した。地図には、海沿いに三つの集落が並んでいた。浜辺に沿って二つの集落を歩き、三つ目に足を踏み入れたはずだったが、家もなければ人もいない。

 自分の居場所を地図で確かめると、確かに「角海浜(かくみはま)」と集落名が書かれている。にもかかわらず、見つけられたのは浜辺の小屋と路傍の墓だけ。「知らぬ間に異世界に迷い込んでしまったような不思議な感覚」に包まれた。自宅に帰って調べると、原発建設計画が浮上し、全住民が移転した場所だったとわかった。

 社会人になってからしばらくは、趣味のツーリングの途中で何度か廃村を見つけては立ち寄る程度だった。

記事の後半では、浅原さんのまとめたリストから「廃村」が多かった道県とその数を紹介します。

廃校になった場所から「廃村」探る

 本格的に回り始めるようにな…

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    杉田菜穂
    (俳人・大阪公立大学教授=社会政策)
    2024年4月30日17時39分 投稿
    【視点】

    いわゆる「平成の大合併(市町村合併)」が進められるなかで、地名が失われることについて議論があったことを思い出している。 読み方の難しい地名や個性的な読み方をする地名といったものには、歴史や文化に基づいたものであることも多い。ある地域に多い

    …続きを読む