日銀、金融政策を維持 短期金利を0~0.1%で据え置き

神山純一
[PR]

 日本銀行は26日の金融政策決定会合で、現在の政策を維持することを決めた。短期の政策金利を据え置き、国債の買い入れ額も維持した。急速に進む円安について、植田和男総裁は「基調的な物価上昇率に今のところ、大きな影響を与えているわけでない」と発言。現時点で、円安の影響を理由とした利上げには否定的な考えを示した。この発言を受け、外国為替市場では円が急落し、一時1ドル=156円82銭まで円安ドル高に振れた。

 日銀は、銀行間で短期資金をやり取りする金利(無担保コール翌日物)の誘導目標を0~0.1%程度に据え置いた。長期金利を抑えるために続けてきた国債の買い入れ額も、月6兆円程度の規模を維持する。

 日銀は前回の3月会合で、約11年にわたる大規模な金融緩和を転換したばかり。市場では今回の会合では政策の維持を見込む一方、急速な円安に対し、植田氏がどのような認識を示すかが注目されていた。

 植田氏は、円安が賃金と物価の循環に無視できない影響を与えそうなら「金融政策の判断材料になる」とし、利上げで対応する可能性を示した。一方で、輸入価格の上昇といった一時的な要因を除いた「基調的な物価上昇率」には「今のところ大きな影響はない」とした。

 日銀があわせて公表した「経済・物価情勢の展望」(展望リポート)では、2026年度の物価上昇率の見通しを初めて示し、1・9%とした。これで5年続けて日銀が目標とする2%前後が続く見通しとなった。

 次の焦点となる追加の利上げについて、植田氏は会見で「(目標達成の)確度(自信の強さ)は継続的に上がっている。物価見通しに沿っていけば、金融緩和の度合いを調整する理由になる」と言及。時期は明言しなかったものの、利上げに前向きな姿勢を示した。(神山純一)

有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。

【締め切り迫る】有料記事読み放題!スタンダードコースが今なら2カ月間月額100円!詳しくはこちら