#MeTooきっかけの元プロデューサー、一部の事件の有罪判決破棄

ニューヨーク=中井大助
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 著名映画プロデューサーだったハーベイ・ワインスタイン受刑者(72)による性的暴行事件で、一部の被害者について審理していた米ニューヨーク州最高裁は25日、一審の有罪判決を破棄した。不適切な証人尋問があったため、裁判のやり直しが必要だと判断した。ワインスタイン受刑者は別の裁判でも有罪となっており、すぐに釈放されるわけではない。

 ワインスタイン受刑者による、映画俳優らに対する連続性的暴行は2017年に報じられて大きな波紋を呼び、被害に遭った女性が声を上げる「#MeToo(私も)」の運動が広がるきっかけとなった。ワインスタイン受刑者は複数の女性への性的暴行で起訴されて有罪となり、20年に禁錮23年が言い渡された。

 しかし、最高裁は25日の判決で、起訴の対象となった被害者のほかにも「被害を受けた」という複数の女性の証言を一審の裁判官が認めたのは、被告の権利を侵害したと判断。他にも訴訟指揮で誤りがあったとして、裁判のやり直しを命じた。7人の判事のうち4人による多数意見で、3人が反対した。

 今後、実際に裁判をやり直すのか、検察側が決めることになる。ワインスタイン受刑者はカリフォルニア州でも性的暴行で裁判を受けて有罪となり、22年に禁錮16年を言い渡されている。

 有罪判決の破棄は波紋を広げた。AP通信によると、ワインスタイン受刑者から被害を受けたという女性たちの代理人弁護士は「性的暴力に問われた人の責任を問うことについて、重大な後退だ」と声明を発表。被告の行動や目的を理解するために、起訴事実以外の証拠を示すことは一般的だと指摘した。別の代理人弁護士は「間違いなく、将来の性的暴行の被害者が名乗り出ることを困難にする」と懸念を表明した。

 一方、ワインスタイン受刑者の弁護士は「判決は、この国で起訴された全ての人たちの勝利だ」と歓迎する声明を発表。「裁判所は、憲法の全ての権利が保障されていると声高に宣言した」と述べたという。(ニューヨーク=中井大助

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