夫婦別姓訴訟、制度論に終始の最高裁「権利の制限」正面から議論せず

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聞き手・田中聡子
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 夫婦のどちらも姓(氏)を変えない結婚を選べる選択的夫婦別姓。その実現を目指す新たな集団訴訟が、この春提起されました。最高裁大法廷はこれまで2度、夫婦同姓を強制する今の法律を「合憲」と判断しています。司法の壁はなぜ厚いのか。憲法学者の高橋和之さんに聞きました。

     ◇

憲法判断を変えるには

 最高裁大法廷は、2015年と21年に、夫婦同氏を強制する現行制度を合憲と判断しました。この判断を変えるには、憲法24条をどう読むかが勝負です。

 24条1項は「婚姻の自由」という自由権を保障していると僕は解釈しています。憲法制定過程の議論の中でも、明確に言及されています。当時、24条による家制度の廃止に抵抗する議員に対し、憲法担当の金森徳次郎国務大臣が「婚姻について、『権利』としてはっきり憲法に書くことが非常に重要だ」と反論しています。

「制度を受け入れるか否かの自由」の最高裁

 しかし最高裁は、1項の婚姻…

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