「消滅可能性自治体」該当は8割26市町村 野田、矢巾、盛岡は改善

小泉浩樹 松尾葉奈
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 有識者でつくる人口戦略会議(議長=三村明夫日本製鉄名誉会長)が公表した分析結果で、「消滅可能性自治体」に該当したのは県内全33市町村のうち、8割の26自治体だった。前回2014年の調査から少子化基調は変わっておらず、県や市町村は引き続き対策を進める考えだ。

 調査では、20~39歳の若年女性の人数が2020年からの30年で50%以上減少する自治体を「消滅可能性自治体」とした。14年の分析とは前提条件や対象の自治体、時期が一部異なるが、前回消滅可能性を指摘された矢巾町は今回対象にならなかった。

 このほかに消滅可能性自治体に該当しないとされたのは、盛岡、花巻、北上、滝沢、紫波、金ケ崎の6市町。

 消滅可能性自治体の中で、前回調査との比較で若年女性の減少率が悪化しているのは、九戸村(マイナス10・7ポイント)、軽米町(同7・7ポイント)、洋野町(同7・1ポイント)の順だった。

 一方で、最も改善したのは、野田村(プラス12・6ポイント)。次いで、矢巾町(同9・9ポイント)、盛岡市(同8・5ポイント)だった。

 東北6県では、「消滅可能性自治体」は165で、全体の77%に上った。地域ブロック別では数も割合も全国で最も多かった。

     ◇

 前回は「消滅可能性」が指摘されたが、今回は脱却した矢巾町。町企画財政課の担当者は「明るい話題として捉えたい。子育てや住むなら矢巾町に、と追い風にしたい」と喜ぶ。

 町によると、2019年9月に町内へ岩手医科大学付属病院が移転したことが大きな要因とみられる。移転に際して、医師や看護師ら職員が移住し、若年女性人口減少率の改善につながったとみている。

 若年女性人口の減少率が、前回との比較で最も改善したとされた野田村の担当者は「人口減少が言われている中で、そういった結果が出たのはうれしい」と語った。

 一方、野田村、矢巾町に次いで改善したとされた盛岡市の担当者は「厳しい状況は変わっておらず楽観していない」。子育て支援に加えて、雇用創出などの経済対策を進めて若い人を引きつける街づくりを目指すという。

 県政策企画課の担当者は「少子化傾向は変わっていない。今回は自然減と社会減の両方を市町村ごとに分析しているので、対策の参考にしたい」と話した。小泉浩樹、松尾葉奈)

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