第4回高齢でも独居でも猫と暮らしたい…思いかなえる「永年預かり」とは

有料記事ペットと高齢者福祉

編集委員・清川卓史

 ペットは家族同然という高齢者は少なくない。しかし病気や要介護状態になって飼育不能になり、生活が破綻(はたん)してしまう事例も相次ぐ。どうすれば高齢者がペットと暮らし続けることができるのか。

 新たな方法として、猫の「永年預かり制度」という独自の試みが北海道で始まった。

 「最期まで面倒をみてあげられる自信がないけれど、猫と暮らしたい。そう思っている方、あきらめないでください」

 そう呼びかけるのはNPO法人「猫と人を繋(つな)ぐツキネコ北海道」(札幌市)だ。

 2015年にスタートした「永年預かり制度」は、ツキネコ北海道が保護し「所有」する猫を、高齢者が「預かる」システムだ。病気などで猫の世話ができなくなったら、猫のシェルターを運営するツキネコ北海道が再び引き取る。

 「私も年だし健康の不安もある。この制度がなければ飼えなかったですね」

 そう話すのは、札幌市の畠山美枝子さん(74)。2年前の夏から、ツキネコ北海道が保護した猫の「したじき」(したちゃん)と暮らす。「多頭飼育崩壊」となった家から保護された猫で、ケガか病気で右目が見えない状態だった。

 4年前に夫が他界して一人暮らしとなった。夫婦でかわいがっていた愛犬のダックスフントも、夫の後を追うように亡くなった。畠山さんは、ショックでしばらく気力を失っていたという。

 新たに家族となった「したちゃん」は、いやしの存在だ。人なつこい猫で、寝るときも畠山さんの布団の上で寝る。

 ツキネコ北海道は、団体の連絡先を明記した「猫の永年預かり証明書」を利用者に発行している。独居の預かり主が急病で倒れるなどした緊急時に、医療福祉関係者から連絡をもらえるようにするためだ。

 畠山さんは、この預かり証明書を、猫のケージがある部屋の壁にはっている。

 「私が病気になったり、施設に入ったりしたら、したちゃんはツキネコさんが引き取ってくれるので、安心です」

 基本的に預かる猫は選ぶこと…

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