大都会の駐在所にやってきた黒猫チョメ 救われた元刑事は新たな道へ

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平井茂雄
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 タワーマンションが立ち並ぶ一角に、人だかりができていた。2012年5月。近くの警視庁月島署リバーシティ駐在所に勤めていた塩田亮一さん(41)がのぞくと、段ボールの中で2匹の黒い子猫が「ミャー、ミャー」と鳴いていた。

 「とりあえず預かります」と連れて帰った。元気な1匹はすぐに引き取り手が見つかった。もう1匹のオス猫は、弱々しく小さい。世話をするうちに情がわき、「チョメ」と名付けて飼うことにした。

 刑事を経て着任したのは、その1カ月前。「住民に身近なお巡りさんをやりたい」と署の後輩だった妻に相談し、夫婦勤務が条件の「大都会の駐在所」に赴任した。下町風情が残り、夏祭りなども盛んな地域だ。

 登下校の見守り、幼稚園との交流。未経験の仕事ばかりだ。もともと子どもは好きだったが、接し方には戸惑った。

 駐在所に入ってきた子どもが、泣きそうな顔で母親の後ろに隠れてしまう。「元刑事の性(さが)か、目つきが鋭く言葉遣いが荒いと感じるみたいで。優しく接したつもりなのに」

 救世主になったのが、猫だった。

 うわさを聞きつけた小学生が…

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