自民王国の首相演説、雨音にかき消されたまばらな拍手 逆風下の補選

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森岡航平 川辺真改
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 ヤジもない。熱狂的な声かけもない。1500人(陣営幹部)が詰めかけたとは思えないほど、その空間は冷めていた。

 「明日は必ず今日より賃金が高くなる。こういった時代を日本に実現しよう」

 21日、島根県出雲市内のJA支店前。衆院島根1区で自民党が擁立した新顔の元財務官僚、錦織功政氏(55)の応援演説で党総裁の岸田文雄首相は、春闘で大企業が踏み切った賃上げを政権の「実績」に挙げ、声を張った。ただ聴衆の拍手はまばら。雨音にかき消された。陣営幹部は「集まったのは動員がほとんどだ」とこぼした。

 県東部の山間地域に位置する奥出雲町での街頭演説では竹下登元首相、青木幹雄官房長官細田博之衆院議長という島根が生んだ政界の実力者の名前に触れ、「島根県の先人が延々と築いてきた地元に対する思い、先人たちの志を、魂をしっかりとつなげていくのか、これが問われている選挙だ」と訴えた。だが、こちらの会場でも、演説の終わりを待たずに会場を離れる人も少なくなかった。

 週末に行われた報道各社の情勢調査では、いずれも立憲民主党の前職、亀井亜紀子氏(58)がリードし、自民は劣勢だった。島根1区は小選挙区制で初めて行われた1996年の衆院選以降、細田博之前衆院議長が9回連続で守り続けた。

 その自民王国に吹くのは、か…

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    岩尾真宏
    (朝日新聞名古屋報道センター長代理)
    2024年4月23日19時17分 投稿
    【視点】

    別の新聞社で働いていた約20年前、出雲に赴任しました。神戸から出雲への転勤で、着任当初こそ色々な面で少し寂しい思いがしましたが、すぐにこの出雲の地に魅せられました。  選挙や各種の会合での首長や議員のあいさつで、決まって登場するのが竹下登元

    …続きを読む