藍染めウェアがチェコ博物館に収蔵へ 元高崎市美術館学芸員小川さん

角津栄一
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 元群馬県高崎市美術館学芸員で、チェコ工芸研究家の小川里枝さんが主宰する「Violka(ヴィオルカ)」(東京都渋谷区)の藍染めウェア作品が、チェコ国立モラヴィア博物館に収蔵されることになった。藍染めはチェコの伝統工芸品。デザインの完成度の高さ、シンプルでおおらかなカッティングによって、伝統工芸品を現代に生かしたことが評価されたという。

 小川さんによると、同博物館の民族学研究所はチェコの民族関係の資料や、伝統文化に着想を得た作品を記録する方針で収集している。今回、ヴィオルカの「貼り交ぜドレスコート」「シャツドレス」「シャツジャケット」が収蔵される。

 「貼り交ぜドレスコート」には、なめくじ、すみれなどのチェコの伝統的な文様を組み合わせている。貼り交ぜは、屛風(びょうぶ)の上に小さな書画を貼り交ぜる日本の「貼り交ぜ屛風」に着想を得て、チェコの古いパターンを組み合わせた。

 民族学研究所のキュレーター、ガブリエラ・ロジュコヴァー氏によると、民族学研究所のテキスタイル・コレクションは6万点近くあり、現在三つの主要なコレクション群で構成されている。伝統的な織物のグループ。都市中流階級の衣服とアクセサリー(1880年から1990年)に焦点を当てたグループ。そして、ヴィオルカの作品が収蔵される現代テキスタイルのグループだ。

 この現代テキスタイルのコレクションは、「伝統とデザイン」という民族学研究所のコンセプトを反映したもので、伝統的な民族文化と現代的なデザイン制作が融合した作品が対象という。

 ロジュコヴァー氏は「現代のクリエーターが伝統的な民族文化の要素を把握し、徹底的な研究と質の高いリサーチに基づいて実現される変容こそ、文化の存続を可能にする。ヴィオルカの作品は、両国の伝統的な染色技術の出会いによって生まれた作品で、コレクションを豊かにしてくれた」と評価している。

 ヴィオルカは5月29日から6月4日まで、高崎高島屋でチェコの博物館に収蔵されるチェコの伝統的なパターンの生地を使った作品などを展示販売する。(角津栄一)

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