第4回学びに伴走する刑務官、指導で気づいた「できて当たり前」でないこと

有料記事刑務所で学び直す

多知川節子
【予告編】刑務所で学び直す
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 その教室の後ろには、必ず刑務官が座っている。高松刑務所(高松市)で続く受刑者の学び直し「教科指導」の授業のことだ。

 教室内の保安を担うのが役割で、基本は見守るだけだが、プリントに穴を開けてとじる助けをしたり、講師が個別指導に忙しい時などは受講生に声をかけたりもする。

 教科指導を統括する高巣倫郎さん(56)は、2022年度からこの担当をしている。少年院や少年鑑別所の法務教官として30年ほど教育に携わってきた経験がある。

 オカダさん(83)、ヒラタさん(52)、カワモトさん(62)=いずれも仮名。2023年度下半期がこのメンバーになって1カ月が過ぎたころ、「受講者3人の空気がなじんできている。ここでの50分をそれぞれ大事にしてくれているのがうれしい」と目を細めていた。

 しかし、年明け早々、下半期の10月から教科指導を受けていたカワモトさんが、授業を欠席し始めた。

社会生活に最低限必要な学力を欠き、犯罪を繰り返してしまう人に学習機会を与える刑務所の「教科指導」。受刑者の地道な歩みに伴走する刑務官にも、気づいたことがありました。

 詐欺の罪で刑務所に入り、今…

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