海自ヘリ2機が墜落 1人死亡、7人行方不明 2機が訓練中に衝突か

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矢島大輔 里見稔
【動画】伊豆諸島・鳥島の東で海上自衛隊のヘリコプター2機が墜落=平野真大撮影
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 伊豆諸島・鳥島の東の太平洋で20日深夜、海上自衛隊の哨戒ヘリコプター「SH60K」2機が墜落した。防衛省によると、搭乗していた8人中1人の死亡が確認され、7人が行方不明となっている。2機は訓練飛行中に衝突したとみられ、自衛隊や海上保安庁などが24時間態勢で捜索している。

 墜落したSH60Kは、大村航空基地(長崎県)配備の16号機(松田拓也機長)と、小松島航空基地(徳島県)配備の43号機(板村一輝機長)。それぞれ機長と副操縦士、2人の航空士の計4人ずつが搭乗していた。

 防衛省によると、事故機を含むヘリ3機は当時、「対潜水艦戦」の訓練のため海上を飛行していた。哨戒ヘリは、空中で静止するホバリング(停止飛行)をしながらつり下げ式のソナーを海中に下ろすなどし、スクリュー音などから潜水艦の探知、追尾などを行うもので、夜間の訓練は比較的難しいと言われる。しかし、20日午後10時38分ごろに16号機との通信が途絶え、その後、43号機も通信が途絶していることが確認されたという。

 訓練には潜水艦を含む艦艇9隻、航空機6機が参加しており、捜索の結果1人を救助したが、死亡が確認された。回転翼のブレードや機体の一部、数個のヘルメットなども回収され、2機のフライトデータレコーダー(FDR)も近接した場所で見つかった。

 こうした状況から、防衛省は2機が飛行中に衝突して墜落した可能性が高いとみている。21日に事故調査委員会を設置し、同系統ヘリの訓練飛行を当面停止。FDRを厚木航空基地(神奈川県)に送って解析を進める。

 現場は、伊豆諸島・鳥島の東約270キロ、水深5500メートルほどの海域。訓練時の気象状況は特に問題はなかったという。

 木原稔防衛相は21日、現場周辺には当時、自衛隊以外の艦船はいなかったことから「他国の関与はない」との考えを示し、「まずは何よりも人命の救出に全力を尽くす」と述べた。

 自衛隊では昨年4月にも、沖縄県宮古島沖で陸自ヘリが墜落して10人が死亡する事故が起きている。木原防衛相は「このような事故が起こったことは痛恨の極み」と語り、陸海空の全航空機に対して、飛行前後の点検や緊急時の手順などについて適切な指導を求める指示を出す考えを示した。(矢島大輔、里見稔)

SH60Kとは

 海上自衛隊のホームページなどによると、哨戒ヘリコプターSH60Kは、乗員は4人で、機体の全長約20メートル、全幅約16メートル。主に護衛艦に搭載し、潜水艦を探知するための専用の装置などを装備している。

自衛隊ヘリの墜落、相次ぐ

 伊豆諸島東方海域で訓練中だ…

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    藤田直央
    (朝日新聞編集委員=政治、外交、憲法)
    2024年4月21日6時0分 投稿
    【視点】

    SH-60Kというのは護衛艦に搭載され、周辺の敵の艦船や潜水艦を攻撃できる新型の海自ヘリです。今回の事態に他国の関与はなく、対潜水艦戦の訓練中だったということですが、2機墜落というのは異例です。何よりまず行方不明の隊員の方々の捜索。そして、

    …続きを読む