銀座・和光のショーウィンドーを手がけた夫 体調不良に悩まされて

有料記事それぞれの最終楽章

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それぞれの最終楽章 認知症の家族をみとる(4)

スウェーデン福祉研究者 藤原瑠美さん

 認知症の母(享年92)を自宅でみとってから4年が経った2004年の暮れ、夫が「ニューヨークの店舗を見て歩きたい」と言った。

 夫の八鳥(はっとり)治久は当時68歳。私が新卒から勤めた東京・銀座の時計や宝飾品などを扱う専門店「和光」の11歳上の先輩だ。現役のころは銀座4丁目の交差点に面した大きなショーウィンドーのデザインなどを手がけていた。前妻を病気で亡くした。00年に退職し、私と結婚して東京都大田区のわが家で暮らすようになって、一緒に母をみとった。

 デザイン事務所を立ち上げた夫は、国内外を頻繁に旅行した。03年から担当した札幌駅のショーウィンドーの仕事は忙しく、年10回ほどの出張をこなしていた。

 夫が店舗デザインにかかわる…

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