LINEにクマ出没情報、地図で共有 岩手県八幡平市がサービス開始

伊藤恵里奈 小幡淳一
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 ツキノワグマによる人身被害が過去最多となった昨年度に続き、今年度も被害が予想されることから、岩手県や各自治体では様々な取り組みを始めた。

 県内では昨年度、46件49人(2人死亡)の人身被害があった。今年度も春先から目撃が相次ぎ、18日には、今年初の人的被害が発生し、北上市で山菜採りの70代の男性がクマに襲われて大けがを負った。

 県では、行楽シーズンを前に、19日付で全県に「ツキノワグマの出没に関する注意報」を発令。20日から5月末までは春先の被害防止キャンペーンを実施し、山に入る際の心得などを記したカードを配るなどする。

 環境省が今月、クマを「指定管理鳥獣」に追加したことで、今後は捕獲や生息状況の調査が国の交付金の対象になる。達増拓也知事は19日の会見で、「保護と被害防止の両立、クマとの共生という基本的な考えのもとで、交付金を活用した対策を検討したい」と述べた。

 各自治体も独自の対策をする。昨年度市内で512件の目撃があった花巻市では、今月中にAI(人工知能)を搭載した赤外線カメラ約25台を市内に設置して、クマの出没を検知するシステムを運用する。

 16日には市や警察署、地元猟友会の関係者らが会議を開き、防止策を話し合った。市では、今年度に市内の全小中学生約6300人にクマよけの鈴を配布する予定だ。(伊藤恵里奈)

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 冬眠から目覚めたクマが動き出すシーズンを迎え、八幡平市では公式LINEを活用し、登録者同士が地図上でクマの出没情報を共有するサービスの運用を始めた。最新情報をいつでも簡単に把握することができ、クマによる被害防止に役立てる。

 利用者はLINEで友だち追加をしたうえで、目撃した場合、メニューにある「クマを見た!(通報する)」からアプリ上で名前や電話番号、日時、頭数などを入力。地図上で場所をタップし、確認して送信する。

 この情報は「クマはどこ!(出没情報)」に反映され、地図上で直近2週間の情報とともに公開される。このほか、メニューからクマに関する注意点など各種情報を公開する市のホームページも閲覧できる。

 市内では今月9日、民家の軒下で子グマとみられる1頭がうずくまっているのが見つかり、地元猟友会が捕獲して山に放した。市によると、2023年度には389件の目撃情報があり、農作物被害は72件に上り、例年の数倍に増加。人身被害は死者1人を含む11人で過去最悪だった。

 同市の人口約2万3千人に対して、LINEの友だち登録者は約3千人。市農林課は「人口の1割を超えたが、さらに登録者が増えるようにサービスを広めていきたい」としている。(小幡淳一)

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