「日常的に監視されていた」 警察が事業者に伝えていた個人情報

有料記事現場へ!

編集委員・豊秀一
[PR]

現場へ! 憲法を手にⅢ⑥

4月上旬、岐阜県大垣市の中心部から車で南西に40分ほど走ると、田畑が広がる農村に着いた。案内をしてくれた地元の寺の住職、松島勢至(せいし)(72)が言った。「あの山の尾根に、風力発電の風車が造られる計画だった」

 ことの発端は一本の新聞記事だった。

 「岐阜県警が個人情報漏洩(ろうえい) 風力発電 反対派らの学歴・病歴」。こんな見出しで朝日新聞名古屋本社版の朝刊1面トップに記事が掲載されたのは、2014年7月24日。

 記事は、大垣市で計画されていた風力発電施設の建設をめぐり、県警大垣署警備課と事業者の中部電力子会社「シーテック」が、複数回にわたって協議した内容の議事録を詳報。警察側が、事業者側に対し、建設に反対する住民らの学歴や病歴、過去の市民運動歴などの個人情報を提供していたことを明らかにした。

 記事を書いた一人が、長く環境問題などを取材してきた編集委員・伊藤智章(63)。「議事録を入手し、驚愕(きょうがく)した。市民運動をしている市民を、警察が監視対象と見ていることがわかった」

 「自然に手を入れる行為自体…

この記事は有料記事です。残り857文字有料会員になると続きをお読みいただけます。

※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません