表現萎縮を生んだ行政の選別 「死せる河村」と勝ち取った逆転判決

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編集委員・豊秀一
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現場へ! 憲法を手にⅢ⑤

 映画「宮本から君へ」は2019年3月、文化庁所管の日本芸術文化振興会から、助成金1千万円の交付内定を得た。だが、出演者が麻薬取締法違反で有罪判決を受けると7月に不交付を通知された。「公益性の観点から適当ではない」という理由だった。

 「これは表現の自由への介入で憲法問題だと僕は思っている。あなたはどう思う」

 劇場公開後の10月、映画を製作した「スターサンズ」の社長でプロデューサーだった河村光庸(みつのぶ)から、顧問弁護士だった四宮(しのみや)隆史は意見を求められた。しかし、憲法論になるのか、四宮はその時点で確信が持てなかった。「映画を公開するなと直接言われたわけでもない。表現の自由への侵害と言えるのか」

 四宮の頭に浮かんだのが、一票の格差をめぐる訴訟などに長く取り組み、憲法訴訟に詳しい弁護士、伊藤真(まこと)(65)だった。四宮と河村が相談に訪れると、伊藤は開口一番、こう言った。「間違いなく、これは憲法問題です」

 11月、伊藤は一人で東京・…

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