「一生w-inds.ですか?」尋ねると…橘慶太さん語る“やめ時”

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聞き手・朽木誠一郎
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 昨今の音楽シーンで隆盛を誇るのが、「歌って踊る」パフォーマンスで観客をひきつけるダンス&ボーカルグループ。その先駆けは、今年でデビュー23周年を迎えたw-inds.だ。世界ではK-POPが台頭し、国内ではあまたのアーティストが現れては消える中、一線で活躍し続けてきた。変化の激しい音楽業界について、体力的な負荷が増すなかで目指すパフォーマンスの高みについて、メインボーカルの橘慶太さんに尋ねた。

 ――近年盛り上がりを見せるダンス&ボーカルグループの先駆けです。

 同じ事務所、女性グループではMAXやSPEEDが、男性グループではDA PUMPが先輩としていらっしゃいますが、「歌って踊る」スタイルで、僕たちも長く続けていますね。

 ――20年以上にわたり活動を続けるのは、大変ではありませんか。

 そもそも、「歌って踊る」パフォーマンス自体、体力的な負荷が高いものです。長く続けるのが難しい面もあるのは事実でしょう。

 でもありがたいことに、新しく出てきたダンス&ボーカルグループの方が「w-inds.のパフォーマンスを見て始めました」と言ってくれることが多いんです。正直、これまであまり実感はなかったのですが、シャキッとしますよね。

 狭い意味の音楽活動だけでなく、セルフプロデュースやサウンドエンジニアリングなど、僕がしてきた広い意味の音楽活動についても、興味を持ってくれる子たちの道しるべになるよう、切り開いてあげられたら、というのは、一つの目標です。

 自分たちに憧れてこの世界に入ってくれた後輩たちに幻滅されたくないし、さらに良い背中を見せられるような活動の仕方をしていきたい。

 ――w-inds.は2000年代後半に楽曲にいち早くEDM(電子音楽の中で特にクラブなどで人気のダンスミュージック)の要素を採り入れ、また、これまでに「トロピカル・ハウス」「フューチャー・ベース」といった、それぞれの時代において先進的な世界のダンスミュージックの流行を意識するなど、音楽性の面でも意欲的です。

 僕たちは04年から海外、主にアジアでも活動をしています。

 音楽フェスに参加すると、そのころのJ-POPはいろんな国で「カッコいい」と言ってもらえていました。そこで高い評価を得ていたがゆえに、外に目が向きづらい面もあったかもしれません。

 しかし、K-POPしかりですが、そこから他のアジアの国がどんどん世界の音楽のトレンドを採り入れて、音楽的に成長していった。僕自身、アジアのフェスに出演して、他の国のアーティストの楽曲を「カッコいい」と感じる機会が増えていった。

 置いていかれたくない、自分たちの音楽も「このままじゃいけないのでは」という思いがあって、12年にソロ活動を始めたあたりから楽曲制作を勉強し、音楽的な挑戦もするようになりました。

 一方で、近年は日本の音楽シーン全体として、グローバルなサウンドを志向する機運も高まっています。日本の音楽がSNS経由で世界で評価される例も増えています。

 僕は今後、国内のダンス&ボーカルグループというジャンルも、さらに細分化されるのではと感じています。個人的にはそれが楽しみですし、そこでw-inds.が自分たちの色を出せるように、常に意識しています。

 ――プロデューサー的な視点ですね。

 自分としては、その類の人間だと思います。昔から常に、自分のこだわりに固まりすぎない面があって。

 何かを作るときも、人の意見を採り入れることを大切にしていますし、それは楽曲制作でも。定義にもよりますが、自分のこだわりを突き詰めるアーティストというよりも、求められていることに応えたいクリエーターに近いかもしれません。

 ――長年、活動を続ける原動力は。

 常にチャレンジしたい、チャレンジ精神を失いたくない。今よりもいいパフォーマンスをしたいし、成長したいです。「このくらいでいいかな」とは思いたくなくて。

 昨日の自分から今日の自分がいきなり100から200になってることはない。100を101にすること、それすらもわがままで、もう1でもない0.5でもいいから、そうやって少しずつ、伸ばしていくことしかないと思うんです、成長って。

 ――一生、w-inds.ですか。

 気持ちとしては。

 そうありたいですし、そう思…

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