ビキニ事件を子どもが読みやすい絵本に 元教員仲間が遺志継いで完成

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蜷川大介
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 今から70年前、米国が太平洋のマーシャル諸島ビキニ環礁で行った水爆実験。日本の漁船員らも被曝(ひばく)し、ビキニ事件と呼ばれる核被害の実像を子どもらに伝える絵本が、高知県の元教員らの手で出版された。

 「ビキニの海のねがい」(A4判、60ページ)。表紙には、ヤシの木の向こうに見える静かな海が描かれている。ページをめくると、高知の海辺で遊ぶ漁村の子どもたちの姿が目に飛び込んでくる。

 物語は1954年3月、広島に投下された原爆の1千倍の威力のある水爆の実験がビキニ環礁で行われ、周辺にいた静岡県のマグロ漁船、第五福竜丸の乗組員が被曝した出来事から展開する。

 真っ赤な空とキノコ雲、放射線で汚染されたマグロ、それらの衝撃をもとに日本国内で広がった原水爆禁止運動などが、迫力のあるタッチの絵で再現されている。

 そして31年後、ようやく「ビキニ事件の被害者」として光が当てられた高知の元漁師たちの体験が紹介される。

小学生らにわかりやすく伝えたい

 絵は高知県美術家協会会長の森本忠彦さん(84)が2019年、元小学校教員の橋田早苗さんを中心とするグループに頼まれて描いた。当初は紙芝居のためだった。

 橋田さんは当時66歳。「核…

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