診療所で患者は泣いた 新潟水俣病と向き合った医師、半世紀の思い

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森下裕介
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 新潟市内の診療所で突然、高齢の患者に泣き出されたことがある。

 「こんなに侮辱されたことはなかった。偽病(詐病)と言うんだ。入院して便所へ行くと、歩き方まで見られる。まるで罪人扱いだ」

 1965年に新潟水俣病が公式に確認され、約2年たった時のことだ。この患者は後に水俣病患者と認定された。水俣病に特徴的な感覚障害などは、症状を訴えても、疑われることが少なくない。地元の診療所や病院で半世紀以上、新潟水俣病と向き合ってきた医師の斎藤恒(ひさし)さん(93)=新潟市中央区=は言う。

 「水俣病ほど詐病を疑われた病気を、私は知らない」

 患者が出たと公になれば、漁…

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