公立化なければ「25年度から学生募集を停止」 千葉科学大側が説明

根岸敦生

 千葉科学大学(千葉県銚子市)を運営する学校法人加計学園(岡山市)が、同大を「公立大学化」するように銚子市に要請したことを受け、市はその可能性や是非を検討する「千葉科学大学公立大学法人化検討委員会」の第1回審議会を14日、市保健福祉センターで開いた。

 会合には学識経験者ら10人の委員が出席。座長に矢尾板俊平・淑徳大地域創生学部長が選ばれた。8月まで毎月1回開き、市に答申する予定。

 大学側はこの日、経緯を説明するなかで、加計学園の渡辺良人専務理事が「公立大学法人化できないのであれば、来年度から撤退することを考えなくてはいけない。在校生の教育、研究は続けるが、25年度から学生募集は停止する」と発言。公立化して学費を下げることで、募集力を向上できるとも強調した。

 同大は、銚子市が約77億円を助成し、用地の無償貸し付けなどもする「公私協力形式」で、2004年に開学した。

 現在、危機管理学部、薬学部、看護学部の3学部がある。ただ、18歳人口の減少や、競合する他大学との競争で入学者が減り、入学定員充足率が低下して、昨年度は47%、今年度は57%だった。同学園は昨年10月、市に「公立大学法人化に関する要望書」を提出していた。

 この日、越川信一市長は「公立化のメリット、デメリットやリスクを十分検討して頂きたい」とあいさつ。矢尾板座長は「公立大学化する判断の基準を全国に示したい。市民に説明し納得してもらえる内容にする」と述べた。

 委員からは「貸借対照表、損益計算書を開示してほしい」(太田康広委員=慶大大学院教授)、「施設の更新、大規模改修に備えての内部留保はいくらあるのか」(田村秀委員=長野県立大教授)などの質問が出た。次回以降、大学側が関連資料を追加提出することになった。

 審議会後、矢尾板座長は「市民の関心がある重いテーマ」と話すとともに、加計学園側が「公立化できなければ来年度から撤退」と発言したことについて、「審議会の冒頭で議論を制約するような発言があったのは遺憾」と述べた。

 この日は市民118人が審議会を傍聴した。(根岸敦生)…

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